コスト削減でやってはいけないこと
コストは削減すればいいというものでは無い?
従業員を雇い入れる体力のある大きな会社では、それなりに無駄が生まれている可能性が高いといわれています。
基本的な考えとして、無駄を減らす対応で実現するコスト削減は売上を高める行為と同じくらい価値が高い取り組みです。
そのため定期的に行うコストの見直しは大切な取り組みにとされています。
しかし、何でも削減すれば良いというわけではなく、なかには"やってはいけないコスト削減"があるという注意点も忘れてはいけません。
やってはいけないコスト削減の一例
それでは、実施に注意が必要なコストの削減の4つの方法を見ていきましょう。
人件費の削減
人件費は、非常に大きなウエイトを占める費用です。
しかし、この費用をみだりに削減してしまう取り組みは従業員のやる気を削ぐ一番の理由となるため、基本的には削減を避けて通りたい"もっとも影響力がある費用"だといえます。
例えば、アルバイトや派遣社員は、契約の内容によっては社員より簡単に契約の見直しが出来ますが、中小企業の多くは派遣社員やアルバイトが大きな労働力として数えられています。
雇用形態に差はあれど、企業にとって重要なポジションの人間を解雇する行いは会社にとって"信用"を失う決断になる恐れがある事実を忘れないようにしましょう。
消耗品の極度な使用制限
ペンやテープなどの文房具は消耗品であるため、比較的短いサイクルで購入する備品です。
同時に、使用者がどれほどの頻度で利用するかによって購入サイクルが変わるため、経営者のなかには「段ボールに使用するガムテープは30cmまで」のような、あまりに細かいコストカットに出るケースもあります。
そのような窮屈さを感じさせるコストカットは、従業員の士気を削ぐ結果になるのでやめた方がよいといえます。
しかし、ガムテープに限らず明らかな備品の無駄遣いがされている場合もあります。
そのような場合はしっかりと原因を突き止め、従業員が納得できる形で利用のルールを再確認すると良いのではないでしょうか。
従業員の意に反する備品の調整
社内環境は従業員にとって大きな影響を与える要素です。
特に、機材新調という名目でパソコンやタブレットをスペックの低い安価なものに一新してコスト削減を行えば、間違いなく従業員から反感を買うことになり、業務に大きな影響を与えかねません。
また、小さな変更点だからといって"加湿器"や"ウォーターサーバー"などの設備を撤去する行為も、従業員にとっては大きな不満となる恐れがあります。
業務に集中できない環境を生み出すコスト削減は、製品の質を落とす結果となりますので、極力避けましょう。
材料に妥協をする
製品を製作する際の材料を安いものに変更する行為は危険です。
多くの場合、製品が粗悪になり、クレームの原因になりかねません。そうなればコスト削減どころか余計な費用ばかりかかってしまいます。
また、製品とは会社の顔です。つまり、製品に妥協するということは会社の"信用"を自ら貶める行為に他なりません。
製品に対して不誠実な気持ちでビジネスに取り組む企業からは顧客もクライアントも離れていくため、大幅な損失につながってしまうのです。
OCRソフト・RPAツールの組み合わせ
近年注目されているコスト削減方法が「OCRソフト・RPAツールの組み合わせ」です。
簡単にいうと、OCRソフトは所謂「スキャン」にてデータを読み込むイメージで、RPAツールはその読み込んだデータを割り振るイメージです。
どのようなことができるのか、実際に確認していきましょう。
会計の仕訳
例えば、今までは手入力が原則であった伝票・発注書の整理や仕訳も、OCRソフトとRPAツールがあれば自動で行うことができます。
これらの書類は「手書き」が今もなお多いため、高性能OCRソフトで正確に読み取り、RPAツールで読み込むという流れです。
これらの業務が多い「建設業」「不動産業」を営む企業に、これらのソフトやツールは特にマッチします。
上手くいけば、事務による人件費を2~3名分カットできるかもしれません。
履歴書の整理
履歴書の数が膨大で管理が大変…
そんなときはOCRソフトとRPAツールによる一括管理を試みてはいかがでしょうか。
特に派遣業を営む企業の場合は人の入れ替わりが激しく、どの企業で稼働しているのか、希望する業種、どこに居住しているのかなどを一目で分かるようにしておく必要があります。
OCRソフト+RPAツールの組み合わせなら、履歴書をスキャンしておくだけで文字起こし(エクセル等へのデータ化)やデータ管理が可能です。
1人の担当者がより多くのスタッフを管理できるようになりますので、間接的なコストカットへと繋がるでしょう。
税務処理はイマイチ?
一方で、税理士事務所や会計事務所など、より正確な計算が必要な業種には意外にもマッチしないようです。
なぜならば、これらの業種は1円たりともズレが許されないためです。
ほんの少しのズレで税金の金額や今後の会計処理が大きく変わってしまい、場合によっては粉飾決算や過少申告等の疑いを掛けられてしまう恐れも否定できません。
このように、100%正確に計算をしなければならない業種などは、まだまだ人の目による作業が必要なのです。
本当に無駄なコストかしっかりと見極める
窮屈さを生み出すようなコスト削減は社員の士気を削ぐ結果を導きます。
コスト削減は
「従業員の士気を削がない」
「お客様の信頼を失わない」
「売上を下げるような結果を生まない」
という点に注意して、法律に抵触しないように誠実な経営を保てるような取り組みであることが大切なのではないでしょうか。
会社の利益のためと思っても逆効果の場合もあるようだ…。
部下の働きやすさが会社の価値に繋がるのだね。
部長!そのコスト削減、やり過ぎていませんか?
無駄をなくす心構えは大切ですが、やってはいけないコスト削減もあるのです!